旧線トンネルを抜けて 2度目の峠越えその2

丸山から少し歩いたところには車の回転場でしょうか。
スペースが出来ています。
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以前来たころには無かったなぁ。


峠の湯手前で新線区間の遊歩道は終わり。
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線路はこの先もずっと残っていますが、
アプトの道はここからアプト式時代の旧線区間へ向かいます。

ロッコもここで分岐。
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峠の湯前までの運転です。

もっとトロッコも運転距離のびねぇかなぁ~、とは思うんですけどね。
新線碓氷川橋梁あたりに駅とか作れないかなー。

手返しポイント、分岐側が「定位」なのがちょっと寂しいですよね。
そらこっちに進路が開通してる時間の方が大半なのは分かるんですけども、

碓氷線の廃線後、2001年にオープンした温泉施設、峠の湯。
碓氷峠訪問時は大体かいた汗をここで流して帰るのが定番でした。

しかし…
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なんとこの7月(2013年旅行当時)に火災が発生。
中央棟が焼け落ちてしまい、長期休業を余儀なくされてしまいます。

なんとも…残念です。
何度も訪れていた場所だけに。


峠の湯の横を抜け、旧国道18号をくぐると、旧線最初のトンネル、第一隧道が見えてきます。
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碓氷線は横川~軽井沢間の11km程の区間に、数多くの橋梁と隧道が建設されました。

鉄道唱歌にも、
「くぐるトンネル二十六 ともし火うすく昼くらし いずれは天地うちはれて 顔ふく風の心地よさ」と歌われています。


トンネル内の照明はまさに「ともし火うすく」といった風情。
ちょっと怖いな。


トンネルを抜けしばらく歩くと、第二橋梁に差し掛かります。
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レンガ積み橋梁の遺構が印象的な旧線跡。
橋梁の形が残るのは横川からだとここが初めてです。

霧積川に架かっていた第一橋梁は橋台だけになってますからね。

ちょっと観察がしづらいのが難点ではあります。
コンクリートでアーチの内巻を補強されているのがかろうじてわかるくらい。

ケーブルをかけていた金具が橋梁側面に残っているのがいいですね。
とはいえ以前よりも周辺の草は短く処理されているようにも思うんですよね。
昔は横から覗いても見えないくらい草が茂ってたこともあったし。

そして第二隧道。
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すぐ上を旧国道が通ってますね。

この隧道のさりげない見所としてはこの金具でしょうか。
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遮煙幕の取り付け金具。

明治25年の開業時、この区間は当然ですが非電化。
というか当時日本に電化区間は存在しません。

峠の上り下りには専用のアプト式蒸気機関車が活躍していました。

しかし蒸気機関車というのは、トンネルをくぐるのにとても都合が悪いのです。
蒸気機関車は石炭を燃やしその熱で動力源となる蒸気を得ます。

その際に燃やす石炭からは当たり前ですが煙が出ます。それも高温の。
外を走っていれば煙はどんどん後ろに流れてきますし、上に立ち上っていきます。
しかしトンネルだとそうはいきません。

上に煙が立ち上るだけのスペースは無く、
さらに後ろに流れるのも別の原因で妨げられてしまいます。

というのも、トンネルに列車が入った際、
列車はピストンの役目を果たしてしまい、前方の空気を押し出して行きます。

そして最後尾がトンネルに入ると、今度は後部から空気を引き込む形になってしまいます。
列車後部から風が吹くのです。

そうなると煙は列車からまとわりついて離れません。
息苦しくてたまらない、程度で済めばまだいいです。

当時乗務員に至っては吐血、窒息なんて事態にまで陥ることもあったとか。
これでは安全も守れません。

で、何とかならぬかで打たれた対策のひとつがこの遮煙幕。
列車が通り過ぎると同時にカーテンのような幕を降ろし、列車後部から空気が引き込まれるのを防ごうという試みでした。

その幕が固定されていたのがこの金具なのです。


このほか、煤煙対策としては燃料を重油としてみたり、
機関車に通風装置を備えたりと様々な手段がとられましたが、
結局路線の開業から20年後、電化により抜本的解決が図られることとなったのです。



まぁしかしすごい時代ですよね。
前述したとおりこの区間トンネルは26あるわけです。

上下坑口で52か所。
そこに全部人を置いて対策しようってんだから。

どれだけ人員が必要だったのだろう、と思いますね。
そして通勤とかどうしてたんだろうというか。
すぐ近くに住み込みもあったとは聞きますけど。

まぁ機械化できる時代でもないんですけどね。
しかし碓氷線の電化は100年以上前の話。

その時点で不要になった部品がまだそのまま残っているというのも凄い話ですよね。


第二隧道を抜けると左手には碓氷湖。
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そして東屋の立つちょっとした広場も右手に。
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このあたりに官舎とかあったのかもしれませんね。


第三、第四隧道は少し短め。
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向こうの第五隧道坑口まで見通せます。


そして少し長めの第五隧道を越えれば…。
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碓氷線最大の遺構、碓氷第三橋梁、めがね橋の上部へとたどり着くのです。




つづく