横川から丸山へ  2度目の峠越えその1

まだまだ4年前の旅行の記録が続きます。
2013年10月の碓氷峠訪問記。

アプトの道が変わっていると聞き、
これはぜひ行かねば、ということで飛び出していきました。

新幹線で高崎まで。
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旅行当時はE2系ばかり。
だって北陸新幹線開業してませんからね。

E2系も長野からは撤退近いんですよね。
時が経つのはあっという間だな。

久方ぶりの横川駅。
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3年ぶりくらいになりますかね。
駅舎も改装が施されて、ちょっとイメージ変わってますね。

レンガ風の装飾がなされています。

せっかくだし久々なんで、
ちょっとくどくど与太話でも入れていこうかと。

かつては信越本線の中間駅、
国鉄・JR最急勾配の碓氷峠越えを前に、
補助機関車EF63を連結する峠越えに挑む準備の駅でした。

碓氷峠越えは北陸新幹線長野開業と共に廃止。
信越本線は途中で分断され、かつての幹線はローカル線の終着駅となっています。


3番線から階段渡らなくていいように通路が出来たんだな…
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元々分断はされていたので今更ですが、
さらに完全に分断された感がちょっと切ない。


線路跡を整備した遊歩道、アプトの道をたどっていきます。
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元々このルートは東京と京都・大阪を結ぶ幹線ルートの一部として計画されました。
そのためその歴史は古く、開業は明治時代にまでさかのぼります。

鉄のレールに鉄の車輪。
摩擦が小さいため鉄道はエネルギーロスが少なく効率のいい輸送手段ではありますが、
またその一方でその摩擦の小ささによって、勾配に弱いという弱点もありました。


それをこの峠越え区間で克服するためとられたのが、
2本のレールの間にギザギザのレールを敷き、
歯車を噛ませて上り下りの補助とするラックレール式のひとつ、「アプト式」でした。


当初アプト式蒸気機関車の組み合わせで開業したこの区間
東西幹線ルートとしての役目こそ果たすことはありませんでしたが、
それでも信越線は重要な輸送ルートに位置付けられ、
この急勾配区間はその輸送需要に応えるため改良を繰り返してきました。

まず国有鉄道として初めての幹線電化を果たすと、
戦後、ラックレール式から一般的な粘着運転への転換と複線化が図られます。

その後新幹線開業に伴い廃線となったのは前述のとおり。
短い区間アプト式時代の旧線と粘着運転時代の新線の廃線跡が重なり、
マニア的にはとても興味深い区間であります。


廃止後もこの区間特有の機関車であったEF63は動態保存され、
体験運転にも活躍しています。
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一度は運転してみたいな…

何年か前は人気で予約もとれないとよく聞きましたが、
最近はどうなんでしょうね。


アプト式時代のラックレールがところどころに再利用されています。
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側溝のフタに再利用された例。

よく見ると片側だけがひずんでいるレールもあります。
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あぁ、ここで峠を上り下りする列車を支えていたんだ、と一目でわかりますね。
鉄のレールがこんなになるほど。すごいな…


横川からしばらくは下り線がトロッコ運転線として残され、上り線が遊歩道になっています。
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いわゆる上り下りは東京起点になるので、長野に向かって片峠になっているこの区間
下り線が峠を登って行き、上り線が峠を下ってくるという、ただの言葉遊びみたいなもんですがちょっと面白いお話。


遊歩道側の架線は取り外されていますが、
ロッコも走る下り線の架線はそのまま。
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信号なんかも残っています。

とはいえ信号の電気系統なんかはどこまで残っているものやら。


しばらく歩くと見えてくるのは旧丸山変電所跡。
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レンガ造りの建物が2棟あり、1棟が機械室、もう1棟が蓄電池室でした。

国鉄最初の幹線電化がなされたこの区間
その電力は横川に設けられた火力発電所で賄われました。

発電所から送られてきた交流電気を直流電気に変え、
機関車に送電すると共に蓄電器室に蓄えておくのです。


かつてはここに信号所が設けられ、ラックレールのエントランスとなっていたほか、
電化方式もここで架空線から第3軌条に切り替えられていました。

勾配もここからが本番、国鉄最急勾配66.7‰(パーミル)区間が立ちはだかります。
峠越えのまさに入口であったわけですね。

新線の粘着運転切り替えに伴い、全線で架空線に切り替えられた際に
この変電所は役目を終えたようです。

その後は放置され一時は廃墟となっていたそうですが、
新線廃線前に国の重要文化財に指定されると、廃線後2002年には修復工事が完了しています。

峠を越えた先の矢ヶ崎にも同様の変電所が存在しましたが、
こちらは解体され現存しないのとはなんとも対照的です。


坂道が一段と急になります。
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さて気合い入れて登らねば。


長い道のりになります。
記事も長くなりそうです…。


つづく