リオスの薬物違反に思うこと

東京ヤクルトのリオスが、禁止薬物使用で1年間の出場停止に加え、ヤクルトから解雇されました。
色々思うところもあるのでその辺書いてみようかな、と。

まずリオスの会見を。
 ▽リオスの一問一答
 リオスは事態の深刻さと先行きの不安からか、慎重に言葉を選びながら、か細い声で自らの潔白を主張した。
 -禁止薬物が検出された。
 「日本のプロ野球界、ヤクルト球団におわびを申し上げる。
 何より日本の子どもたちの夢を壊したことを謝罪したい」

 -注射を受けたときに禁止薬物の認識はあったのか。
 「医師に勧められて使った。投与が始まったときは禁止薬物が含まれている認識はなく、
 後に分かった。昨年11月、12月の使用は体外に排出される可能性が高いと言われた」

 -注射やサプリメントが原因ではないとの見解だが。
 「NPBの医者からは、昨年11月、12月の注射で陽性反応を示した可能性がゼロではないと聞いている。
サプリメントも少しは(原因の)チャンスがあると聞いている。どちらかから出たのではないかと思っている」

 -なぜ球団に摂取の報告をしなかったのか。
 「サプリメントは届け出を怠った自分のミス。
 注射はヤクルトと契約したときは使用してなかったので言わなかった」

 -今後は。
 「家族と真剣に話し合いたいし、弁護士とも話し合いたい。
 サプリメント医療機関で検査することは可能性としてある」

[ 共同通信社 2008年6月28日 21:23 ]

んー、個人的に疑問なのはですね、
そもそもプロスポーツ選手に対して「禁止薬物」が含まれている薬品を薦める医者など存在するのか?
という点です。

禁止薬物が検出されればその時点で患者の選手生命は終わりかねないわけです。
いくらなんでも医者としては無知すぎやしないでしょうか?

去年までリオスが所属していた韓国リーグでもまさに去年からドーピングテストが実施されています。
去年オフの時点で禁止薬物を含んだ薬品を投与する医師ってのはちょっとおかしいと思います。


そしてそれをそのまま信用するリオスもどうかと思います。
>「医師に勧められて使った。
> 投与が始まったときは禁止薬物が含まれている認識はなく、後に分かった。」


ちょっと無頓着すぎやしませんか。
自分だったらブチギレしますけど。何でそんな大事なことを説明しておかないんだ!って。

一番大事なところじゃないですか?
大学で競技やってる弟は風邪薬すら確認してから飲みますよ?栄養ドリンクは飲みませんよ?


マチュアの人間ですらこうなのに、
仮にもプロスポーツ選手が自分の摂取する薬物にここまで無頓着ってさすがにどうなんでしょう。

>「昨年11月、12月の使用は体外に排出される可能性が高いと言われた」
だけで納得しちゃぁダメでしょうよ。医師もリオスも。プロなのに考えが甘いよ。

まぁリオスが言ってることが本当なら、結局今回その甘さの報いが来ちゃったわけですけどね。
リオス本人の意識の甘さも責められるべきでしょう。言ってることが本当なら。



でも、そもそもドーピングの何が悪いのか、ですよね。

プロ野球に限らずプロスポーツってのは競技を人に「見せる」ことによってお金を得るわけです。
お金が取れなきゃいくら上手くても「プロ」じゃない。
じゃあ、観客は「なぜ」スポーツに対してお金を払うんでしょう?

上手いから、なんじゃないですかね結局。


その選手のパフォーマンスがとても「凄いことだ」、と思うからお金を出すのであって。
河川敷の草野球や空き地のキャッチボールを見るのにお金を出す人なんていませんよね。

こう考えると、より高いパフォーマンスを見せるために薬物を使って何が悪い。
そんな考えも浮かんできます。

もっと「凄いもの」を見せるためにやったこと。
それで体を壊そうと本人が満足ならそれでいいじゃないか、と。



しかし考えても見てください。
そもそも薬物で高めたパフォーマンスは「凄いこと」と判断されるのでしょうか。

自力で出した160kmの速球と、薬物でビキビキに鍛え上げられた体で出した165kmの速球。
後者の方が凄いんでしょうか。


そんなことない…、と思うんですよね。やっぱり。
自分は後者のパフォーマンスに対してお金を出す気にはならない。
やっぱり「インチキ」だと思うから。

自分には到底出来ないような「努力」や自分には縁のないような「才能」。
そんなバックグラウンドがあるからこそ「凄い」と感じるんだと思います。

そのバックグラウンドがもし嘘(薬物で作られたもの)だったら。
実は130kmくらいしか投げられなかったけどクスリでパワーアップしたんだー、とか言われたら。
…金返せ、って思うでしょうね。だって別に凄くねーもんそれ。
それこそ普通に頑張って145km出した人間の方が凄いと思う。


だからダメなんじゃないのかなと思います。
本来の自分の努力や才能以外で得たパフォーマンスでお金をとってるから。
そりゃ詐欺だろ、というか。いや法律的には全然詐欺じゃないですけど。

薬物で出したパフォーマンスにお金は出せない、という人間が多くいるのなら、
こういう事件はリーグ全体にもダメージを与えてしまいますよね。

「どうせ他の選手もみんなやってるんじゃないの?」
「クスリでパワーアップしてるんだったら全然凄くないじゃない。」 
そんなイメージが人々の間に広がるかもしれない。

「凄くない」ことにお金を払う人間なんてそういません。
となればこのようなイメージは観客の動員減、そして収入減につながりますよね。

あ、ということはリーグ全体なんかの団体から見ればこれはやっちゃいけない行為ですね。
道義的な問題とか選手の健康の問題とかそういうことではなくて、
ただ単に収入が減って運営が成り立たなくなり、やってもない人間に迷惑がかかるからやめろ、と。

なるほどなるほど。何か自分で言ってて勝手に自分に納得した。


あとは人々がどんなイメージを持っているか、ですかね。
「薬やっててもスゲーもんはスゲーんだから金を出す価値がある!」と思うような人が
「クスリで出した記録は凄くないから金は出さん」と思うような人よりも圧倒的に多いのなら。
だったら別にドーピングやってもいいんじゃね?と思わないでもないです。興行的には。

とにかくやれることは何でもやって、人間の限界を目指す!ってのもある種面白いかもしれない。


道義的な問題とか選手の健康面とかは個人的には割とどうでもいいです。
卑怯だとは思うしわざわざ自分で体壊すのはバカな事だとは思うけど。





しかし着地点がよく分からん問題だな…w

まぁ、一度ホントにしっかりと検査やらなきゃダメなんじゃないかと思います。
膿は出し切らなきゃいけないと思うな。


…散々長々書いてきてこんな結論しか出せない自分がちょっと情けないです。