1年にたった1度、島が開くその日  予讃線津島ノ宮駅 前編

臨時駅。

常に利用できるわけではない駅というものがいくつかあります。
駅なのに、いつでも乗り降りできない。ちょっと不思議な存在。

そんな不思議な存在の中でも、
またひときわ面白い駅が香川県にありました。


1年の間で営業日数はわずかに2日間。
残りの363日は列車が全くとまりません。

1年のうち、列車が止まらない日が99%以上。
さらに言えば、その2日間についてもすべての列車がとまるわけではありません。

とまるのは1時間に1本の各駅停車。
それも1日目は日中から夜にかけてと、2日目は日中から夕方まで。

たったのこれだけ。
果たしてそれって駅として必要なんだろうか。そう思わずにはいられません。


ところが。
ここ津島ノ宮駅は、なんとその2日間のみで4000人を超える乗降客数を叩きだすのです。

1年間を通じて平均しても、1日5人超。
坪尻なんかは普通にこの駅を下回ることでしょう。常設なのに。


ずっと行ってみたかったそんな不思議な駅に、今年初めて訪れたのです。
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ホームはカーブしており、列車は大きく傾いてとまります。

そのためホームと列車の間には広く隙間が空き、
駅員さんがほぼドアごとに立ち小さな子供の乗降などを手伝っています。
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普段は無人駅どころか止まる列車すらない駅。
そんな普段の姿とのギャップがものすごいですね。

駅舎には切符を買い求める人が並んでいます。
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車掌さんが持っているような発行機で切符を発行してくれるのだとか。
レシートみたいなやつですね。


少し歩くと見えてくるのがこちら。
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離れ小島に架かる橋。島にあるのが駅名の由来、津嶋神社です。

かつては牛馬と子供の守り神として有名だったそうですが、
農作業の近代化に伴い、かつては欠かせない存在だった牛馬が消えてゆくにつれ、
それについての守り神の役目も薄れていったのか、現在は子供の守り神として有名になっています。

岸から250mほど離れた小島にあり、
橋が架けられてはいますが、普段は踏み板が設置されておらず、渡ることが出来ません。

夏季大祭が行われる8月の4日と5日。
この2日間だけ、橋を渡って島に向かうことが出来るのです。

つまり津島ノ宮駅が開く2日間、というのはこの神社の大祭期間中のみ、なんですね。


瀬戸内の美しい情景が広がっています。
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たった2日しか駅に降りることが出来ないというのが、なんとももったいない話に思えます。


さて、この日しか渡ることが出来ない、なんて煽っといてあれですが。
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干潮時は橋を渡らなくても、島にたどり着くこと自体は出来そうですw

まぁ、せっかくなんで渡りましょう。
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渡橋料として300円がかかります。
行って帰って300円。どんなもんでしょうかねw

周辺には屋台も出て、非常ににぎやかな雰囲気です。
この日ばかりはどこを向いても小さな子供ばっかりですね。


橋の入り口。「つしまばし」と書かれています。
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その後ろには通行止めの標識が見えますね。
よく見ると扉も見えます。普段はこの扉で塞がれているんですね。

この橋の雰囲気がまたたまりません。
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夕暮れの海に裸電球の明かり。
どこか別世界へと進んでいくかのようです。


ちょっと来るの遅くなっちゃったなー、と思っていたんですが、
いやいやこれはむしろ素晴らしい時間にやってきたんじゃないでしょうか。
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ステキです。


神社入り口へたどり着きました。
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階段の上が本殿となります。

さすがに階段は持って上がれないのでしょう。
立ち位置左手あたりに多くのベビーカーがとめてありました。

それでも子供は抱きかかえて登らなきゃいけないのだから大変です。




とりあえず前後編で行けるといいなと思います。
中編挟むかな。



つづく